ヨカッタ、ヨカッタ!

 この週末は、岡山でシルバ・メソッド・セミナーを開催してきました。その再受講参加者のなかに、速読受講生A君のお父さんがいました。A君は、今年の春に大学受験をしたはずなのですが、合否が分からないでいました。連絡がないときは、落ちた可能性もあるし、こちらからは聞きづらいので、気になりながらも、そのままにしていたのです。
 A君と最後に会ったのは、去年の12月の初めの岡山セミナーでした。そのときは、訓練で視力が回復してきたと報告してくれると共に、地方のあるS大学を受けようかなと言っていました。お父さんに、遠慮がちに聞いてみると、見事に大阪大学に入ったというのです。
 驚いて、「えっ、私にはS大学を受けると言っていたのですが?」と水を向けると、「実は、確かにそうだったのですが、遅まきながら、ちょうど12月の半ば頃から、受験勉強をするようになりまして、一日14、5時間もしてました。それは、親もビックリするほど、集中しましてね。そして、センター試験を受けたら阪大を受けるって言うんですよ。あの集中力は、本当に速読のお陰ですよ」と、嬉しそうに答えてくれました。もちろん、私も大変嬉しく、安堵に胸をなでおろしました。
 ちなみに、今年でシルバ・メソッド受講3回目のお父さんは、それまで悩みの種だった職場の人間関係がよくなり、楽に生きられるようになってきたと、喜んでくれました。
そういえば、目尻が少し垂れてきたような感じが・・・。A君ご一家の幸せに、ちょっと貢献できたようで、ヨカッタ、ヨカッタ!(豊文)

認知視野は拡大する

 今回は速読研究の話。というのは、昨日、共同研究者である東京大学の植田先生と東京女子医科大学の加藤先生が、学会発表のためイタリアに出発したのだ。4月のニューヨークでの発表に続き、国際学会での2度目の発表だ。残念ながら、私はシルバ・メソッド・岡山セミナーがあり、今回は参加できない。
 今回発表するのは、Cognitive Science 2005 という大会で、認知科学分野では最も国際的で有力な学会の年次大会だ。4月のニューヨークでは、速読脳を開発した人の読書時の脳活動の違いについて発表したが、今回は、視覚認知能力の変化についてだ。簡単にいえば、いわゆる視野が広がるという話だ。これも、非常にはっきりしたデータが出ているので、興味を持ってもらえるのではないかと思う。
 厳密には同一の人間について、経時的に変化していくのを追わなければならないが、訓練によって視覚認知範囲が拡大するということはほぼ証明できたと言っていいだろう。長い間主観的経験として主張していたことが、客観的に証明されたことになるわけで、少し安堵した気持ちだ。
 外部の研究者の方々と共同研究するということは、確実に結果を出せるという訓練システムとそれに裏付けされた確信がないとできない。結果が出なければ、ご迷惑をかけるだけだからだ。NHKの「ためしてガッテン」のときもそうだったが、ちょっと勇気がいる。もちろん、研究に興味を持ち参加してくれる受講生の皆さんがいないと、研究は成り立たない。今回の発表も、たくさんの受講生の皆さんにご協力をいただいた結果だ。あらためて、実験に参加してくださった皆さんと、研究を声援してくださった皆さんに感謝したい。
 ところで、先日の授業でどうも指示通りの見方をしてくれない人がいる。よく話を聞いてみると、視野が広がるなんてことは信じていないと言う。信じていなければ、確かに、別な見方をしちゃうよね。世界で初めてのことで常識をちょっと超えているから、信じられないという気持ちは分かるけど、ここまで研究を進めてきたんだから、そろそろ信じてよね!(豊文)

徳を積んで伸びる!

 先日の岡山セミナーでのこと。
 受講生のAさんが初めて速読の見方がつかめてきた。自分の思い通りの訓練ができるようになったと大いに喜んで、これは受講生のBさんのお陰だと言う。というのは、Bさんの強い勧めで、わざわざ大阪の視覚情報センターに行きメガネを新調した結果、仕事の書類や新聞を読むのがとても楽になり、訓練でも見やすくなったからだというわけだ。Aさんは、その日は参加していなかったBさんに対し、感謝の言葉を繰り返した。
 そのBさんは、前日に受講していて、これまた大きく伸びていた。実はBさんは、渋谷本部でも、電話で話す感じがとても穏やかになったと最近、話題に上っていた人である。もちろん、私の目から見ても大きな変化で、前日のセミナーでは、自分を深く落ち着かせるセルフコントロ−ルが確実にできるようになり、見方のコントロールも確実になっていた。訓練もここまで進めば、速読できるようになるのはもうほとんど確実だと言っていい。
 Bさんは自分を変えるのに熱心だった。シルバ・メソッドも基礎コースから、卒業生コース、ウルトラセミナーと受講した。そのとき、思うことがあったのだという。それは、Bさんの言葉をそのまま借りると「徳を積まねば!」ということだった。訓練の様子から察するに、それからBさんは生きる姿勢を大きく変えたのだと思う。
 訓練が進まず、両眼視に問題ありと私に指摘されているAさんを見て、Bさんは地図まで手紙に書いて視覚情報センターに行くことを勧めた。もちろん、Bさんもメガネを替えて見るのが楽になることを経験していたからだ。「Bさんの強い勧めがなかったら、行かなかったですね」とAさんは言う。Bさんは、明らかに徳を積んだのだ。そして、Bさんも伸び、Aさんも伸びた。
 徳を積まなければ能力は伸びないなどということは、もちろんないと思う。ただ、他の人のためにという気持ちを持つことは、心の視野を広くすることであるし、気持ちにゆとりを持つことになる。このことが、実際に心を落ち着かせ、視野を広げるのではないかと思う。訓練の実践と共に、日常の心がけの大切さを教えてくれるエピソードだった。(豊文)

読書から「道」へ

 友人から「最高の自分を生きる」と題する本が送られてきた。スポーツでも、芸道でも、仕事でも、集中状態(ゾーン)に入ると、素晴らしい結果をもたらすことが知られている。そのような例を、紹介して、そこに至る生き方を探求している書だ。
 その中に、弓道の話が出てくる。名著「弓と禅」で知られるオイゲン・ヘリゲルと彼の師匠の阿波研造の話である。20年近く前に読んだので、詳細は忘れていて大変感動した記憶だけを覚えていたが、改めて、読んでみると、やはりすごい。
 それは、師の阿波研造がオイゲン・ヘリゲルに射を見せると言って、暗闇のなかで弓を射ってみせる場面だ。26メートルほども離れている的の前に、線香を一本立てさせ、的を狙う。もちろん、ヘリゲルの目には、線香の灯りも見えない真っ暗闇のなかだ。一射し、二射する。的を見に行くように言われてヘリゲルが見に行くと、一本目の矢は、的の真ん中に命中していて、二本目の矢は、一本目の矢を割るように重なって命中していたという。まったく何度読んでも背中がぞくぞくするような話だ。
 それにしても、道を究めるというのは、本当にすごいと思う。信じられないことを可能にする。そしてその道は、精神を陶冶する禅や、老荘思想や、神道などの東洋思想に裏付けられている。私も、創始者の朴先生も、数万字/分で本を読むというのは、道の追求だと思っている。おそらく、この「速読脳開発プログラム」は、韓国と日本だからこそ、生まれかつ育むことが出来たのではないかと思う。
 21世紀が精神文化の時代だとすると、その時代の教育は精神を陶冶する東洋思想にそったものになるのではないかと思う。僭越ながら、「速読脳開発プログラム」が、そのような教育方法の先駆けになるように、受講生の皆さんと共に、道を追求する立場と教育方法を追求する立場とで、努力していければと思った次第だ。(豊文)