雨の音

 台風11号が近づいている。雨脚が次第に強くなってきた。
 雨と言えば、思い出すことがある。小学生の頃、夏休みは母の実家のあった津軽半島の竜飛岬の近くで過ごすことが多かった。海で泳いで遊んだ記憶も多いのだが、なぜか忘れられないのが、雨の日だ。一日中、強い雨脚がほとんど変わらずに、降り続ける。木造家屋のせいか、今東京で聞くよりも、雨の音が大きかったような気がする。
 旅館だったので古い週刊誌や雑誌は多少あるのだが、それはすでに読み終えてしまっているので、特にやることもない。客のいない部屋から窓の外を覗いては、雨がただ繰り返して、地面にぶつかっては飛び散り、水たまりに落ちては円い波紋広げていくのをじっと眺めていた。時間は無限にあるような感じだった。
 寸暇を惜しむ今の生活からは、とても信じられないような過ごし方だ。が、無駄だったとは全く思えない。むしろ、あの、一見退屈な時間が自分を育ててくれたのではないかと思っている。。速読を教え始めてから、特にそう思うようになった。鎮まりを作ろうとすると、フッとあの雨の日の記憶がよみがえってくるからだ。
 今教室では、脳を視覚的に刺激して、速読脳を開発する訓練を行っている。まさに、刺激だ。しかし、あの雨の日のように、何の特別な刺激もない時間も、別の意味で、脳を開発してくれるように思う。
 今日まで、教室は夏休み。あの雨の日の鎮まりを心の底に秘めながら、明日からの通常業務に邁進したいと思っている。(豊文)

夏期集中セミナー、終わる

 一昨日で夏期集中セミナーが終わった。
私は、なか4日、シルバ・メソッド・セミナーを担当したので、速読セミナーは、初日と最終日だけを担当した。最終日に担当した11名のなかに、たまたま初日に担当した受講生がいた。遠く九州から参加してくれたAさんだ。
 6月入会したとき、仕事がら食生活の面に改善すべき点があることが分かり、それに納得して、出来るところから変え始めた。初日にあったとき、お陰様で体調が良くなったと喜んでいた。が、緊張しやすい性格はすぐには変わらない。気が上がると、どこを見ているのかすぐに分からなくなってしまう。
 最終日、Aさんの表情は変わっていた。落ち着きが目と表情に出ている。なかなかテイクオフできないときでも、気持ちを乱さず、少しずつ、コントロールしてテイクオフにもっていっている。初日の様子だけから考えるなら、実に大きな変化だ。最終所感には、感謝の言葉が述べられていた。
 講師としては、受講日数から見て、速度的にもう少し伸びてほしいところだったが、内面的に、大切なものを掴んでくれたことは嬉しい限りだ。多少速度が伸びるよりも、これから先の訓練の伸びを考えても、また日常の生活を考えても、心の落ち着きが得られる方がずっといいと思う。自分を変え、自分の生活を変えていく拠り所は、心の落ち着き以外にないからだ。
 燃えた夏期集中セミナーを終え、教室は、明日から夏期休暇に入らせて頂く。講師一同、心身をリフレッシュして、26日から、皆さんの変身(変心?)を今までにも増して強力にお手伝いしていこうと思っている。(豊文)

人間の教育は人間しかできない

 先日あるパソコン教室の経営者から問い合わせがあった。
 受講希望の電話ではあったのだが、その興味を持った理由が面白い。彼は、速読を教室に導入できないかと考えて、速読の教室やソフトを販売しているところに問い合わせた。どこに問い合わせても、営業権はいくらだとか、ソフト導入の単価はいくらだとかという営業的な話しか出てこない。
 ところが、当教室に問い合わせると、営業的な話は出てこないで、目と意識の関係がこうなので、指導は講師が直接見る必要があって云々と、内容の話しか出てこない。それで非常に興味が湧いて、受講してみようという気になったというわけだ。
 当教室ももちろん経営的にしっかりした基盤を作っていかなければならないので、営業的な話も積極的にすべきだと思っている。しかし、教えるということが仕事である以上、まず訴えるべきものは、その教育としての意義ではないかと思う。当連盟は、設立当初から、速読の方法を販売するのではなく、速読能力を身につけるための教育をするという姿勢を貫いてきている。だから、名称にわざわざ「教育」という2文字を入れたのだ。
 速読教育は、単に知識を教える教育と違って、意識の使い方が深く関わってくる。それだけに、指導する側には、高度な技能が要求される。パソコンソフトでコンピューターに任せて指導が可能なものならば、とっくにそれを実行に移していただろう。時代の先端技術を取り入れることも必要だが、人間の教育は人間しかできないと思っている。当面、教室という場での人間対人間の教育を維持していくつもりだ。(豊文)

夏期集中セミナーに祈る!

 早いもので、もう8月だ。出足の遅かった夏期集中セミナーも、もうすぐ定員いっぱいになりそうで、感謝している。
 夏期集中セミナーは連続して受講できるので、地方から来る人も多くなる。この夏期集中セミナーに出て、「速読脳」全開の天才になって帰ろうと期待して来る方も多いと思う。そんな期待を持てるセミナーだけに、期待が強い分、ますますテイクオフの見方を早く掴もうと焦りが出がちである。
 先日の日曜日、久し振りに渋谷で集中セミナーを担当した。結果的に8割以上の人がテイクオフの見方を掴めたのだが、実は、練習してきた人ばかりではない。むしろ、全体的には、練習の少ない人が目立っていた。
 このセミナーの面白いところは、練習してきたからと言って必ずしも良い結果を出すことはできないし、練習してこなくても、良い結果を出すことができるということだ。つまり、練習をしてきて「今日こそ!」張り切って取り組むと、力むことになる。そうするとうまくテイクオフできないのだ。逆に、練習してこないために、結果を求めず、リラックスして受講する人がいる。そんな人は、力まず素直に集中するので、テイクオフが無理なくできてくる。
 要するに、訓練に取り組むときの気持ちが問題なのだ。自宅で練習してきた人は、そのことを忘れて受講するようにすれば、その自宅練習を含めて今までの練習が生きてくる。練習できなかった方は、出来なかったことに捕らわれず、無欲に受講すれば、自分の本来の実力を発揮できる。
 頭では分かっていてもすぐには出来ないことかも知れないが、このことをぜひ頭の隅に置いておいてほしい。そして、貴重な連続受講をぜひ生かしてほしいと思う。私自身は11日から14日までシルバ・メソッド・セミナーと担当するため目黒にいるが、遠くから皆さんの訓練の成功を心から祈っている。(豊文)