ぼやいてみたい

 ある受講生Aさんの話。渋谷教室の授業では、最後に読書に時間がある。Aさんが入会してまもなくの頃、今日はどの本を読もうかと、本棚の前で本を探していた。渋谷の教室には、教室の後ろに本棚が5つ並んでいて、すべて数えたことはないが、おそらく1000冊以上の本がある。その前で、本を選んでいたわけだ。
 すると、たまたま隣にも本を探している人がいる。この人も面白そうな本を探しているんだなと思っていたら、独りぼやく声が聞こえてきた。
「この本、全部読んでしまったんだよな」
 ビックリして声の主を見ると、10万字/分を達成して最優秀賞を取ったことがあるBさんだ。一瞬目が点になり息が止まるほど、驚いたが、その驚きはただちに感動に変わっていた。なるほど、10万字/分の速読脳を持つと、こんなぼやきが出てくるのだと、速読脳を開発した人のイメージが一気に腑に落ちた。
 「自分も、あのBさんのように、カッコよく、ぼやいてみたい!」あこがれが、形となったわけだ。そして、同時に、決意に火がついた。もちろん、Aさんの心には、ほかの受講生と同じように、速読脳を開発するという決意があったのだが、その決意に「ゼッタイに」という思いの火がついたというわけだ。
 Aさんは、早速、10万字/分を一緒に達成しようという仲間を募り、共に頑張り始めた。今朝の授業で、その仲間の二人を担当したが、よい訓練ができていて、着実に力を伸ばしてきていた。嬉しいことに、Aさんが仲間みんなと一緒にぼやくのも、そう遠いことではなさそうに思えた。(豊文)

久々に、本が!

 先日受講生の皆さんにはお知らせしましたが、久々に、本が出ます。
「絶妙な速読の技術」佐々木豊文著、明日香出版社、¥1,365
 出版社としては、速読のテクニックを軽く紹介する本と考えていたようでしたが、日頃から、速読脳はテクニックではできませんと言っている私ですから、やはり、軽くはできませんでした。
 今回は、速読脳にまつわるいろいろな話を紹介するというのではなく、速読脳の基礎である読書能力について書きました。速読と早読みの違い、すでに持っている読書能力を発揮するために日常生活でできること、読書の基礎力を養うための読書の仕方、など、読書の基礎力を養うための本になっています。
 訓練がある程度進んでいる方には、百読会260冊の藤木美奈子さんが10万字/分に到達したときの書き下ろし体験談が載っていますから、参考になると思います。くれぐれも、立ち読みで終わらせないように!!
 実は、この本は欲張っています。中身だけでも読んでもらえると思ったのですが、「読むだけで速くなる本」に挑戦しています。10月からの初級講座で使うフォーマットを、綴じ込みでつけています。そのフォーマットを使いながら、読むことで、読み終える頃には速く読めるように工夫してみました。きっと、教室に来ていないご家族、友達に役立つと思います。ご紹介、ヨロシク!
 というわけで、10月1日発売ですから、ぜひ書店に予約しておいてくださいますよう。必ずや、すぐ売り切れになると予期しております。が、書店で売れないとすぐ絶版になりかねないご時世ですので、ぜひぜひ一般書店でお買い求めくださいますようお願いします。以上、教室物語、宣伝のページでした!(豊文)

速読初級講座」新規開講!

 たまに「先生は、授業のないとき何をしているんですか?」という質問を受けることがある。素直な私は予想もしなかった質問に呆気にとられつつ、一瞬「ボクは授業のないとき、いったい何をしているんだろう?」と考えてしまう。授業以外の時間はヒマでも良さそうなのに、なぜか朝から晩までやってても十分なほどの仕事がある。
 その仕事のひとつが、新しく「初級講座」を作ることだった。十年以上も前からアイデアを出してはつぶし、出してはつぶしを繰り返してきたが、今回は、開講に漕ぎ着けた。新講座の目的は、速読眼、速読脳に至る前のレベルをカバーすることだ。つまり、速読眼を作るところまではやらないが、速く読めるようになる講座というわけだ。ポイントは、訓練内容が、速読眼、速読脳を開発する訓練と矛盾しないということだ。
 そもそも聴いて理解する能力は、2000字/分近くの速度までついていける。ならば、文字を追う能力を改善すれば、その速度を読書でも使えるはずではないか。実際、たくさん本を読んでいる人のなかには、2000字/分近くの速度で読む人は結構いる。2000字/分近くで読めれば、通常の3倍近くの速度だ。今まで3時間かかって読んでいた本を、一時間で読めるようになったなら、それは素晴らしいことだ。
 おそらく一万字/分以上の速読の存在を知っている人は、魅力のない講座と感じるだろうと思う。しかし、2,3倍でいいから、気軽にトライしてみたいという方もいるのだ。ただし、そのトレーニングが、一部の速読法や市販されているCDのように、速読眼を作る障害になるものであってはならないということは、絶対的条件だ。なぜなら、初級講座から、本格的な速読眼、速読脳の開発訓練に進む人も出てくるからだ。
 8月に実験講座も開催してみたが、今回ようやく、そのようなトレーニングを作ることができたと思う。ぜひ多くの人に受講してほしいと思う。
 すでに入会して「速読脳開発プログラム」の本格的訓練に入っている方も、一般書の速度が2000字/分に達していない段階の人には、意味のある訓練になるはずだ。大人の人には、開講時間が限られているせいで、受講しにくいと思うが、内容的には大人でも問題はない。該当する人は、ぜひ並行してトライしてみてほしいと思っている。(豊文

速読脳は瞑想する

 土日の大阪セミナーのあと、月曜日は、独立行政法人情報通信機構で速読者の脳活動についての測定を行ってきた。NHKの番組「ためしてガッテン」の取材で最初の測定をしてから、11人目だ。これだけの数の速読者について測定データが揃うと、統計的な処理ができる。ということは、大きな変化だけでなく、細かな変化まで分かるようになる。
 言語野に関しては、すでに心の中の音声化が減ってくるということで、結論が出ているが、そのほかにも変化があることは十分予想される。今回までの測定で、それが少しずつ見えてきた。まだ論文になっていないので、はっきりは言えないが、右脳の空間認識を司る部位が、速読時に活性化しているようなのだ。
 去年受講生のSさんが「脳はいかにして神を見るか」という本を紹介してくれた。その中に、瞑想中に活性化する脳の部位として右脳の上頭頂葉後部が上げられていた。この部位の働きは、物理空間のなかで自分自身の位置付けをすることだ。「上下を判断し、角度や距離の判断を助ける」というこの部位の機能は、「まず自分と自分以外のすべてのものとを区別する」という自己認識機能と関係している。瞑想して自己を探求することは自己認識を掘り下げることであるらしい。
 本によって表現が異なるので、速読中に活性化する部位と瞑想中に活性化する部位が同じかどうかはまだ分からない。ただ、きわめて近い部位であることは確かだ。粗い言い方をすると、速読の熟達者は、速読しているとき瞑想状態にあるということになる。速読中の感覚は、一般にいわれる瞑想中の感覚とよく似ているが、今回の研究でそのことの説明も付きそうになってきた。(豊文)

右脳が動き出す

 受講生のAさんから、メールが来た。シルバ・メソッド・セミナーでの記憶術の練習(記憶の鍵)で、30個の言葉を初めてすべて覚えられたので、記憶力が良くなったような気がして、試しに漢字のドリルをやってみたという。そしたら、数回書いただけで面白いように覚えられるようになっていた、という喜びのメールだ。
 シルバ・メソッド・セミナーで会ったとき、何か憑き物が取れたような晴れ晴れとした顔をしていた。一目見て、右脳が動き出したなと思ったら、右脳後頭部にジンジンと刺激がきているという。Aさんの、受講の目的は「頭の回転を良くしたい。記憶力を向上させたい」だったが、その目的が達成され始めたわけだ。(達成されたと言ってもいいのだが、これからまだ伸びるという意味で、まだ第一歩なのだ)ようやく努力が実ってきたのだ。講師としてとても嬉しい限りだ。
 私自身、身に覚えがあるのだが、一般に、右脳が不活発なときは、冴えない感じで直観がうまく働かない。これは理解力の低下をもたらす。記憶力も今ひとつで、思うように覚えられない。自分の能力はこんなはずではないと思いながら、気分は落ち込みがちで、自己観察もままならない。これはなかなかつらい状況だ。
 Aさんの場合、シルバ・メソッドの練習と速読の訓練で、見事右脳を活性化させたわけだ。程度の差はあるが、Aさんと同じような思いを持って受講に来る方は結構いる。これまでの多くの受講生の体験談と共に、今回のAさんの結果も、今トレーニングに励んでいる受講生の皆さんに、大きな励みになると思う。紆余曲折を越えて、ここまで頑張ってくれたAさんに、この場を借りて、感謝したい。(豊文)