達人たちの集中力

 授業が終わっての、帰り際。カウンターのところで挨拶をしたら、「先生、聞いてくださいよ!私、落ち込んでいるんです!!」というか細い声。うら若き女性に、そんなふうに言われたら、聞いてあげないわけにはいきません。
 「えっ、いったいどうしたんですか?」と尋ねますと、親しい友達が、急に亡くなったとのこと。しかも、職場のトイレで、突然死したために、死後数時間も誰も気づかず、見つかったときには手の施しようがなかったのだそうです。私も、親友を10年前に亡くしましたが、40代頃から、友の死に出会うようになりますね。本当にそのときは、がっくり来るものです。
 別れてから、今日の担当講師に、彼女の今日の訓練はどうだったのか、聞いてみました。「とても落ち込んでいたんで、見るだけの訓練にしましょうかと言ったんですが、取り敢えず理解の訓練をしたいというので、やってみたら、本に集中できて、逆に気持ちの落ち込みを回復できたと言っていました。」とのこと。
 なるほど、さすがCクラス、お見事!実は、訓練がまださほど進んでいないときは、見ることに集中しようとしても、気持ちの状態に左右されてしまいます。しかし、Cクラスも上のレベルになると、見ることや、理解することに集中することで、自分の気持ちの不安定さをコントロールできるようになってくるのです。
 以前、最優秀賞受賞者のAさんは、こんな体験を教えてくれました。満員電車の中で、怪我の痛みが激しくなり、脂汗が流れ、気が遠くなってきて、倒れそうになったときのこと。まさに、その倒れそうになったとき、たまたま週刊誌の中吊り広告の文字が目に入ってきたのだそうです。そうしたら、その文字が目に入ったとたん、頭とは別に、目が猛烈な速度でその文字を追い始めたというのです。その結果、意識が正常に戻り、無事電車から降りることができたという話でした。これも、見る集中で、意識
状態をコントロールできた例です。
 Cクラスの集中力がどんなものか、少しイメージが出来たのではないかと思います。エッ、ナニ?デパートで、ちょっとでもほしいものを見てしまったら、目が集中して体が動かなくなるんじゃないかって?いや、これとそれとは・・・。(豊文)

反省の日々

 いつも、この前の土日は○○に行ってきた、などと書き出しております。土日がセミナーなのは分かってもらえているらしいのですが、「先生、ウィークデイは何をしてるんですか?」と聞かれることがあります。一瞬「?」と思うのですが、確かに、受講生の目には、セミナーや授業で教えるという表の場面しか映らないのですから、無理もない質問と言えます。
 いつもなら、ウィークデイも授業に出ていますので、まず、その授業や土日のセミナーのカルテの記入と記録用紙への赤入れに、時間を使うことになります。けど、今は、実は本を書いています。10月末発行予定の本「絶妙な集中力をつける技術」の原稿です。
 普段話しているようなことや頭の中にあることを書くのですが、本にするとなると、やはり正確な表現を期すことになります。そこで、確認のために昔読んだ本を引っ張り出したり、新しい本で最近の情報を調べたりしながら、書き進めることになります。実は、これが自分にとっても、結構勉強になるんですね。今回も、やはりそうで、よい機会を持てたと嬉しく思っているんです。
「そんな悠長なことを言ってて、原稿の締切は大丈夫なの?」と、ご心配をかけてしまいそうですが、いやホントに、その心配は大当たりなんです。ですから、焦らないつもりでも、どこか焦りますよね。そうすると、気が浮くんです。気が浮くと、文章が上滑りするんですね。明らかに、視野が狭い状態になります。
 昨日など、調子に乗って書いていたら、全体の話の流れから見て、一部は詳しく書き過ぎているし、一部は、今回この本には書かない方がいいなんてことを書いてしまっておりまして、結局、自業自得とは言え、8割方、原稿は没。
 そうなると、実験に入るんです。エッ、何の実験って?こうすれば集中できるって、本に書いたテクニックが、本当に効果あるかどうか自ら実験して確かめなければならない羽目になるわけです。まあ、お陰様で実験は成功裡に終了することができましたので、安心して読んでもらえるかと思います。
 ナニ?「焦らず、気を鎮めて、視野を広くしてというのは、どこかで聞いたことのある台詞だ」って? まあまあ、気を鎮めて!次の本は、締切前に書き上げたいと、書きながら、反省の日々を送っている今日この頃でございます。(豊文)

感動経営を目指す

 先だっての土曜日から月曜日までは岡山での速読セミナーでした。
 例によって、金曜日夕方に岡山に入り、ホテルで待っておりますと、私が兄とも敬愛するサン・クリニックの山縣先生が、「今外来が終わったんですよ」と、さわやかな笑顔で現れました。ちょっと時間が遅かったので、「今日は何人診られたんですか?」と尋ねると、「90人ちょっとぐらいかな」とのお返事。診療に使った時間はほとんど12時間。にもかかわらず、疲れひとつ見せないさわやか笑顔で現れる先生に感動!
 そして、いつもの小料理屋Nに直行。ここのマスターがなかなかすごい人。お店を構えたのは、ほんの数年前とのことですが、仕入れはよく吟味しており、下準備も周到で、目の前にある素材を、客の希望を聞いて、たちまちのうちに絶品に仕上げてしまいます。ラベルのない蔵出しの酒、絶品の肴、そして刮目して交す先生との会話、これも感動!
 けどこの日はそれだけではありませんでした。最後に、誕生日プレゼントのケーキを用意してくれたのです。「また齢を重ねました」という先生との会話を聞いて、わざわざ買いに行ってくれたのです。この気配りに、またまた感動!!
 感動するといつも反省するんです。果たして、私は、そして私の教室は受講生の皆さんに感動を与えることができているんだろうかと。
 「ブタもおだてりゃ木に登る」と言いますが、木に登るほどおだてられりゃ、それは確かにひとつの感動を与えたことになるでしょう。しかし、おだてられて一時的に木に登っったとしても、醒めたときにすぐ落ちるようでは、感動が落胆に変わってしまいます。それでは、能力を開発したことにならないわけです。
 ですから、おだてるという手は、能力開発では使えないし、使ってはいけないと思うんです。けど、世の中は今、感動経営の時代!一時的な興奮する感動を与えようとするものが多いんですね。気づいてか気づかないでか、そんな感動を求める方も多いように思います。
「速読脳」の開発は、本物だと自負しています。ですから、当教室では、一時的で興奮させる感動ではなく、恒久的で心静かな感動を目指しています。もちろん、一時的な感動も大切なことは分かっていますよ。特に、おいしい酒肴に、楽しい会話・・・これぞ、至福のとき!
ナニ?そんな話はもういいから、ケーキはどうしたって?それは、ヒ・ミ・ツ!(豊文)

より深い世界観の確立に向けて

 先日の日曜日、いつもなら大阪セミナー担当なのですが、今回は東京でお仕事。と言っても速読ではなく、国際生命情報科学会という学会の、パネルディスカッションにパネリストとして参加してきました。そのパネルのテーマは、「遠隔作用」。つまり、実は、シルバ・メソッドの講師という肩書きでのお仕事でした。
 「遠隔作用」の中でも、ヒーリングが主な話題で、遠隔ヒーリングを実践している4団体が招かれて参加しました。それぞれのやり方を説明した後、ヒーラーはどのようにしてヒーリーと繋がるのかとか、どのようなイメージでヒーリングするのかとか、邪気を受けることはないのかなど、司会の質問に応えているうちに、予定の2時間が過ぎてしまい、総合討論でさらに1時間、会場からのいろいろな質問に答える時間が設けられました。
 遠隔ヒーリングについては、海外でも科学的にその存在が証明されていますし、国際生命情報科学会では、気功を初めとして、遠隔ヒーリングについても研究してきていますので、疑ったような質問はありませんでした。むしろ、このような次元を超えた治療が存在するということから、どのような世界観が引き出されるかということに興味を持つ方が多かったという印象を受けました。
 が、このような研究会に参加すると私はつい思ってしまうのです。このような主観的世界の現象を科学という客観的世界の研究手法で、その存在を明らかにすることはできます。しかし、そこから一歩進んで、それがどのような仕組みで可能になっているのかとか、私たちが住む三次元の世界以上の次元の世界は、どうなっているのかなどについては知りようがないのではないかと。
 いや、知り得ないということではないのですが、それは遠い将来のことではないかと思うのです。しかも、それが分かって、その後にする事は、私たちの生き方に役立てることです。ならば、みずから実践して、少しでも体験体得して、自分なりの世界観を構築していく方が現実的ではないか。少なくとも、私が生きているうちに、この世を理解しようと思うなら、それ以外に手はないように思うのです。
 今日はちょっと哲学っぽい、小難しい話になりまして、ゴメンなさい。けど、「速読脳®開発プログラム」も、「シルバ・メソッド」も、自ら実践して、より奥の深い世界観を確立するには、ぜひお薦めの訓練ですよ。(豊文)