次の世代の能力開発の指針

 友人から、新しい著書が送られてきました。題して、『「いのち」とつながる喜び』丸山敏秋著、講談社刊(¥1,575)です。お産をテーマにした本ですが、親の立場から捉えたお産の本ではなく、生まれてくる子供の立場からも捉えたお産の本です。

 シルバ・メソッド卒業生コースでも、「子供は親を選んで生まれてくる」とか、「お腹にいるときから、意識が発達していて、その記憶を持って生まれてくる」という話をしていますが、赤ちゃんは、意識が未発達で無知な存在ではなく、立派に意識を持った存在であることを、近年の医学や心理学は教えています。

 そのことを踏まえたとき、お産は、親中心ではなく、生まれてくる子供との共同作業であることが分かります。丸山さんは、彼の幅広い知識と、現場の人の声、そして彼自身の体験をもとに、お産の意味、実際的なあり方を提言しています。教育の再生は、そこから始まらなくてはならないと説いていますが、まったく同感です。

 能力の開発は、幸せに生きるためのものですから、自分自身だけで終えては片手落ちです。次の世代の能力を開発し、幸せにしなければ、自分の幸せはないからです。次の世代の教育は、赤ちゃんがお腹にいるときの胎教から始まり、お産、そして子育てへと続きますが、決して赤ちゃんに知識をたくさん詰め込むことではありません。
それらに一貫した大切なことは、生まれてくる子供を一人の人格として捉え、愛情を持って育むことです。

 私たちはたくさんの科学的な知識を持つようになり、テクノロジーを使うようになったため、お産や子育てについての伝統的な智恵や、本来持っているはずの親としての愛情を自然に発揮することが難しくなってきています。それらを取り戻そうとするとき、生まれてくる赤ちゃんは、お腹にいるときから、意識を持った存在だということを忘れてはならないわけです。

 本来の子育てを知り、次の世代の能力開発の基礎を作り、自分と次の世代が共に幸せに生きるために、丸山さんの新著をぜひ一読されることをお薦めします。ちなみに、丸山さんも、速読脳を開発したの仲間の一人です。(豊文)

本の取材が続いてます

 先日、拙著「絶妙な集中力をつける技術」を読んで、取材して記事にしたいという依頼が来ました。この本からの取材依頼は、これで3件目です。最初は、「Business Risk Management」、ふたつ目は、ご存知の「プレジデント」。今回の本は5冊目の著作ですが、こんな反響は初めてです。この本を読んでの受講申し込みも、少しずつ増えてきました。
 集中力についての本はたくさんあるのですが、集中力の効用を謳った能書き書であったり、天才的な集中力を持った人が、自分の集中力について語るものであったりです。そうではなく、普通の人がトレーニングで集中力を身につけることができること、そのための具体的トレーニングと日常生活の中で集中力を発揮するための実践テクニックをまとめた本を書きたかったわけです。
 「今度の本は、読んで受講を申し込んでくる人が少ないんですよ」と受講生のSさんに話したら、「先生、あれは書き過ぎですよ」と言われてしまいましたが、確かにあの本を読んだだけで、いろいろなことができてしまいます。けど私自身としては、そんなに書き過ぎたつもりはなかったのです。本格的に集中力をトレーニングで改善していくノウハウは、まだまだたくさんあるからです。
 逆に、このぐらいのノウハウは軽く書けるということから、「速読脳開発プログラム」や「シルバ・メソッド」という潜在脳力開発法のすごさを察してほしいと思ったのです。その結果として、教室の受講生募集に役立つようにという下心はあったのですが、まず読んだ人に役立つようにと思って書いたのが、取材が多いという有り難い評価につながったように思います。とにかく、有り難いことです。
 今年も一冊は、新しい本を出したいと思っています。今度は、「速読脳開発プログラム」に力点を置いた本にするつもりです。このような著作活動や各地での指導を通して、この本物の速読脳力開発法を、本気で広めていこうと思っているこの頃です。(豊文)

トイレで伸びる

 この前の土日は、岡山セミナーでした。久し振りに、ちょうど定員いっぱい参加してくださり、張り切って授業してきました。その授業に、ちょうど一年ぶりで参加したお母さんと中学生のお嬢さんがおりました。お二人とも始めたばかりで、すぐ一年間空いたので、今回どんな訓練になるのか、講師としてちょっと心配でした。
 前回、お母さんは、速読の見方が掴めてきたという段階まで進んでいましたが、お嬢さんの方は、掴みかけてきたところで終了していました。このような段階で、一年間空けると、訓練の仕方さえ、忘れているのが普通です。「そうそう、それで教室の敷居が高くなって、つい・・・」という会員の方もおられると思います。
 けど、いったん身体で覚えたことは、実際に始めると、意外と思い出せるものです。ですから、心配しなくていいのです。それで、一年ぶりに来た二人はどうだったかというと、これが、驚く無かれ、まったく見方を忘れていないのです。いや、と言うより、前回の終了時より、もっとできるようになっていたのです。
 「これは、おもしろい!」と思って、どんな練習をしていたのか聞いてみると、机に向かって訓練したことはなかったというのです。「えっ? 何か練習はしていたんじゃないの?」と聞いてみると、「トイレの中でだけ」という答。一年前の受講時に勧めたように、訓練フォーマットをトイレに貼っておいただけだと言うのです。素直に、アドバイスを聞いていてくれたわけです。講師としては、実に嬉しいことです。
 トイレは、他人の目をまったく気にする必要のない場所ですから、実に貴重なところです。心静かに、リラックスできる場所といえます。ということは、速読の訓練にもってこいの、実に貴重な練習場所でもあるわけです。
 もちろん、家族の理解を得ていないと、トイレに訓練フォーマットを貼るなどということはできませんから、難しい方もいるとは思います。けど、何らかの方法で、一日数分でもフォーマットに向かう時間を作るなら、訓練は大いに進みます。長時間空けてセミナーに参加しても、セミナーで伸びるのです。今回のお二人はそれを証明してくれました。
 さあ、しばらく訓練を休んでいる方、今からトイレに貼れば、ゴールデンウィークの集中セミナーで、いい結果を出せますよ。ひとつ、貼ってみませんか?(豊文)

神への奉納

 先週の金土日は、大阪セミナーでした。土曜日の夜、ホテルに帰って一休みし、何気なくテレビのスイッチをひねったら、具志堅幸司氏がパッと出てきました。具志堅氏は、1984年のロサンゼルスオリンピックで、体操個人総合優勝を果たした人ですが、優勝に至るまでのドキュメンタリー番組を途中から見たわけです。

 そんな番組があるとも知らず、たまたまスイッチをひねったわけですが、具志堅氏の語る話にすぐに引きつけられました。というのは、自分の演技を何度も何度もイメージでトレーニングをしたという話だったからです。個人演技のときも、会場に行くバスの中で、すべての演技を三度イメージで練習し、最後には、日の丸の旗が中央に高々と掲揚されるのまでありありと浮かんできて、バスの中で、涙したのだそうです。

 これは、まさにイメージは実現するという典型的な例ですから、シルバ・メソッドで話をするもってこいの話題です。しかし、いい話はそれに止まりませんでした。いかにイメージトレーニングをしていると言っても、オリンピックですから、大変な緊張に教われるわけです。それに対して、清風高校時代の恩師である桑原昭吉先生から、「神への奉納」だと思ってやるようにというアドバイスを受けるのです。そして逆転優勝するわけです。

 「神への奉納」、皆さん、どうですか? 心に響きませんか? 私には、ドーンと響きました。
人間を相手に競争すれば、心にはいろいろな雑念も浮かびますし、緊張もします。しかし、神という絶対的な存在に捧げるという気持ちで演技しようとすれば、人間としての相対的な想いや雑念は自ずと消え、白紙でやるしかありません。あの演技は、神への奉納だったのだ、その結果の優勝だったのだと知ったとき、鳥肌が立ちそうな感動を覚えました。そして思いました。「私たちの生き様そのものが、神への奉納なのだな」と。

 速読の訓練、講師には見られるし、結構緊張しますよね。けど、これも講師が相手だと思うから緊張するわけで、神が相手だ、神に自分の訓練を奉納するのだと思ってみたらいかがでしょう。緊張など、あっという間に雲散霧消して、素晴らしい鎮まりが心の中に生ずるのではないでしょうか。講師という仕事も、神への奉納としてやれるようになりたいと思った次第でした。(豊文)