知識を生かす

 先日、あるお母さんと小学生のお子さんに会いました。そのお子さんは、じっとしていることができません。お母さんは何も仰いませんでしたが、私には、いわゆるADHD(注意欠陥多動性症候群)の症状と疑われました。
 お母さんは、子供を静かにさせるために、甘いお菓子や飴を躊躇することなく与えています。お子さんは、お母さんからもらえないときは、白砂糖のスティックを破って食べています。これだけ食べさせていれば、脳が興奮しないわけがありません。ADHDの症状を促進していると言っていいでしょう。
 頻繁にお会いする方ではないのですが、当連盟の会員ですから、私の食物の話は随分前に聞いているはずなのです。本人がADHDに陥らないように、そして家族もそのような問題を起こさないようにと願って、日頃から食べ物の話をしているのですが、今回の出会いは、ちょっと残念な出来事でした。
 しかし、よく考えてみると、頭で理解したことを実行することは、誰にとっても容易ではありません。特に現代は、知識を蓄えることが重要視され、私たちは、知識を得ただけで満足してしまいがちです。良い話であればあるほど、その話を聞いたときに、それだけで満足してしまいがちなわけです。
 これでは、せっかくの知識を殺していることになってしまいます。
 速読の力を身につけることは、知識を得ることを容易にします。必然的に、多くの知識を獲得できることになります。先哲の言葉に、「百聞は一見にしかず、百見は一行にしかず」という言葉があります。見聞きした知識を行動に移すことの大切さを教えた言葉です。
 私たち、知識教育で育った現代人は、知識を得ることに快感を覚えます。その陥穽に落ちずに、得た知識をよく考え、行動に移すことが、本当に速読脳を生かすことになるのだと思った次第です。(豊文)

人生には無駄がない

 先週の土曜日から3日間、スペシャル・テイクオフ・セミナーでした。
 毎回、その回の特徴がありますが、今回は、意識を変えてもらわなくてはならない人、体を変えてもらわなければならない人、訓練のやり方を覚えてもらわなくてはならない人など、いろいろな人が集まっていました。
 引っ張っていく私としては、3日間、突走った感じで、なかなかやりがいのあるセミナーでした。速読の見方は勿論のこと、肚をチェックしたり、目をチェックしたり、柔軟体操を教えたり、呼吸法を指導したり、体験談を披露したり、いやいや、なかなか盛りだくさんの3日間でした。
 それにしても、思ったのは、「うつ」の経験者が多いことでした。企業に行きますと、どこの企業でも、この問題は大変困っている大きな問題です。先日NHKテレビでも特集を組んでいましたが、この問題に対して、根本的な対策を取れていないようです。
 それもそのはずだと思います。というのは、「うつ」は、経験したものでないと分からないところがあるからです。その点、当教室は強みがあります。なんせ、私自身が「うつ」を経験し、そして、それを克服してきたからです。
 もちろん、「うつ」の最中は、精神的にとても大変です。動けないほど落ち込み、閉じこもりながら、自分について、人間の生き方について、社会についてなど、とにかくまともに考えられない頭で、いっぱい考えたことを覚えています。
 その思索が深かったという思いはまったくありませんが、何も問題が無く過ごしていたら、今よりも考えない人間になっていたことは確かなように思います。それを克服したから言えることではあるのですが、「うつ」の経験はとても貴重な体験です。
 私は、「うつ」だけでなく、体も弱かったので、若いときは人一倍苦労しました。そのなかで、自分ではどうしようもないことがあること、時を待たねばならないことがあることなどを身体で学んだように思います。あの体験がなければ、現在のような能力開発の指導はできなかったと思います。よく言われることですが、「人生には無駄がない」という言葉は真理だと、つくづく思うのです。(豊文)

A君からのメール

 受講生のA君から、メールが来ました。ここしばらく、セミナーに顔を見せていないので、心配していたA君です。というのは、A君は大学生で、アトピーを持っていました。アトピーがあると、落ち着いた集中ができませんから、読書しても頭に入らないどころか、学業自体に支障を来してしまいます。
 一方、親は、大学に入ったからには、独り立ちすることを期待します。しかし、本人はアトピーがあるので、生活体力もままならず、その期待に応えることができません。大学の授業にも付いていけないと、一時は、せっかく入った大学を中退する決意までしたA君でした。
 シルバ・メソッドを受講したとき、その話を聞いて、中退を踏みとどまり、アトピーを治すことから焦らず取り組むようように、一緒にいた受講生と一緒に説得したのが、一年ほど前でした。そのとき、「もう一度やり直します」と男泣きに泣きながら、決意した姿を、今もはっきり覚えています。
 その後何度か、セミナーに顔を出し、その度にアトピーも良くなってきていたので、頑張っているだろうとは思っていたのですが、そこにメールが届いたわけです。
 「先生おひさしぶりです。いつもご心配をおかけしています。自分は現在、家族のいる兵庫の実家から大学に行ってます。速読のほうはようやく千字ぐらいになりました。食事の量や睡眠時間にもだんだん気配りができるようになってきました。アトピー完治を目指して頑張ります。
 つまっていた鼻は、パタカラのおかげか通ってきて、鼻呼吸で訓練ができるようになりました。万事コツコツ焦らずにやりたいです。今回は単位をとれそうです(うれしい!)。今大学はテスト期間で夏休みには教室のほうに出たいと思います。」
 読んで本当に嬉しいメールでした。それにしても、アトピーは食物の間違った摂取から生じる病気です。食を正すだけでも、A君のようにかなり改善します。誤った食の情報が氾濫している今日、正しい情報を選択するためにも、「速読脳開発プログラム」で読書力を向上させて欲しいと、思いを新たにした次第です。(豊文)

招待状に思う

 先日、一通の招待状が届きました。以前個人レッスンでお教えしたことのある外交評論家のA氏からの出版記念祝賀会への招待状でした。非常に丁寧な筆書きの手紙が添えてあり、以前の指導のお礼が述べられてありました。
 A氏は、私より二十歳も高齢ですが、現役で活躍しています。新聞に論文を書き、本を著し、講演もこなすほど、エネルギッシュに活動されています。丁度個人レッスンを始めた年、彼は以前から実現したかったことを実行に移したのだそうです。
 それは、毎日世界中から情報を収集し、それをレポートにまとめて配信するという仕事です。そのために読まなければならない文書の量は、毎日A4の紙にして10メートルほどもあるというのです。しかもそれは、主に英文です。それを毎朝早朝に読み、必要な情報を選択し、午前のうちに配信するというわけです。
 もちろん、そのレポートを受信して読むのは、日本の各界のリーダーたちです。情報が世界を制すると言われる今日、この仕事は、国の命運を左右するほどの重要な仕事です。
 最初に教室にいらしたとき、A氏は仰るには、「早く読めるようになりたいのは勿論だけど、それ以上に、読み飛ばして、重要な情報を読み落とすようなことがあっては困るのです」ということでした。ですから、拾い読み飛ばし読みの速読なら意味がないということでした。私たちの教室で主張している高速理解読書、つまり「読書としての速読」を求めていらしたわけです。
 丁度、今回、出版記念祝賀会が催されるその本を、日本語での著述が終わり、英文に翻訳するという時期でした。そのため、ますます忙しくなり、それまで、多忙の中、時間を捻出して通ってきてくれていましたが、実質3倍の速度になったこともあり、訓練を中断することになったのでした。
 当教室は、民間のしかもごく小さな教室ですが、速読能力の開発においては、国内トップの教室だと自負しています。NHKの「ためしてガッテン」のときもそうでしたが、本物はどこかとよく調べた方は、当教室にいらっしゃいます。そんなわけで、時々世に名の知られた方もいらっしゃいます。そんなとき、その方の活躍を通して、当教室が社会に役だっていると、心から嬉しく思うわけです。(豊文)