テイクオフを捨ててこそ・・・

「目は心の窓」と、この欄でも何度か書いてきましたが、本当にそうですね。目の動きも、見え方も心の微妙な変化によって大きく変わります。渋谷の通学本科に通ってきているAさん、ようやくテイクオフの見方ができました。Aさんは、とても遠くから通ってきています。沖縄から通っている方が一番遠くからで、次がAさんです。
Aさんを担当し始めた最初の頃は、言葉の行き違いに苦労しました。速読に対するご自分のイメージがあったのだと思いますが、私が説明に用いた言葉を自分の言葉に置き変えてしまうため、なかなか説明した内容や意図が伝わりません。そこで、まず言葉を個別に解説して、お互いに使っている言葉の意味内容を摺り合わせました。これで、私が進めようとしている訓練の方向とAさんが進めようとしている方向が、同じになりました。
訓練の持っていこうとする方向が一致したので、私としては、Aさんの訓練を安心して見ていられるようになったのですが、だからといってすぐにテイクオフに入れるわけではありません。どうしてもテイクオフを意識し過ぎて、考えてしまったり、焦ったりするために、少しテイクオフに入ることができても安定しないのです。安定しなければ、深く集中することができませんから、はっきり見れるようにはなりません。
それからしばらく経った先日、とうとうAさんは、テイクオフしようとするのをあきらめました。テイクオフしなくても、訓練をやっているといろいろ良いことはあるし、先生の指示に任せようという気持ちになったのだそうです。その結果、その回から、丸も文字もはっきり見え始めました。本人も「今までこれほどクリアに見えたことはない。本当のテイクオフができた!」と大喜び。
その次の回もテイクオフの見方は安定し、前回同様良い見方が続きました。見方をはっきり掴めたので、自宅での練習にも迷いがなくなり、練習時間が増えてきました。ここまで来れば、訓練の大きな山は越えたと言っていいように思います。これからも、いろいろあるとは思いますが、とにかく訓練がプラスの循環に入りました。
きっかけは何だったか。テイクオフしようとするのをあきらめたことでしたね。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という古人の言葉がありますが、成る程と思います。テイクオフに執着しているうちは、本当の集中ができてこないのですね。
テイクオフを目指して頑張っている皆さん、いかがでしょうか? 自分の状態と照らし合わせて、参考にして頂ければ、Aさんのご苦労も報われようというものです。そして、Aさんに続きましょう。(豊文)

続けるコツ

東京は、今週末で冬から春に移っていくとお天気情報のお兄さんが言っておりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
寒いと練習をしようにも、体が凍えて机に向かうのが億劫になりますね。「継続は力なり」です。どんなに速く読めたとしても、練習しなければ「速読脳」は開発できません。そこで、今回は、練習を続けるコツについてお話します。
「毎日1時間やろうとするからできなくなる。一日30秒だけやろうと思えば、毎日できる。酔っぱらって帰ってきても、30秒だったらすぐできると思えるから、気楽に取りかかれる。そして、30秒のつもりで始めてみると、30秒じゃ終わらない。いつのまにか、1分になり、1分が3分になり、3分が10分になり、気がついたら、30分やっていたということになる」
と仰るのは、8年ほど前に最優秀賞を取られたGさん。確かに、最初から30分とか1時間とか決めると、取りかかろうとしても気持ちが重くなってしまいがちです。けど、30秒と思えば気楽にできそうですよね。これは、気持ちの構えをなくして、楽に取りかかるためにとてもいいアイデアだと思います。
「30分とか1時間、できるだけ集中して邪魔が入らない時間を確保して練習したいと誰でも思うと思います。けど、そうすると、時間を取れなくなってしまうんです。誰かにすぐに遮られるかもしれないけど、とにかく時間ができたら練習に入るといいですよ」と仰るのは、今年最優秀賞を受賞されたKさん。
訓練で涙を流している所を人に見られたら恥ずかしいし、何か誤解されるかもしれないし・・・とか、途中で電話が来たら出なきゃ悪いしとか、誰かが部屋に入ってくるかもしれない・・・などと、先のことを考えて、訓練に入れなくなってしまう人は意外と多いのではないかと思います。
訓練する時に、先のことをいろいろ考えたら、心配の種ができるだけで、訓練に入れなくなってしまいます。「連続した30分や1時間を確保して、完全な訓練をしよう」と思わないこと、ですね。もともと、完全な訓練なんてないのです。この訓練は、今やっていることに集中する訓練ですから、先のことは考えずに、とにかく、訓練に入って集中してみることが大事ですね。
さあ、お二人の先達の「続けるコツ」、参考になりましたか。がんばってね〜。(豊文)

新著胎動

いろいろと、忙しい日々が続いております。皆様、いかがお過ごしでしょうか?
昨年、この欄で執筆終了と報告した本が、少しずつ形になってきました。先日、初校のゲラ刷りを編集者が持ってきてくれました。赤い字で校正しながら、読んでいきましたが、最初の原稿とは、随分違った形になってきました。
やはり以前この欄で、無くなりそうとお話した二宮尊徳の話などは、カット。この速読は、道(どう)であると解説した部分も、ほとんど、章ごとカット。逆に加えるように養成されたのが、体験談。短い体験談ですが、14個13人分の体験談が加わりました。
著者の私としては、だんだん、普通の速読の本に近づいてしまったようで、ちょっと残念です。編集者にそう言ったら、「先生の哲学が、随所に入っていますから、従来の速読の本とは違います」と、持ち上げてくれました。一応、真に受けて、気持ちを鎮めるしか手はありません。
文庫本の趣旨は、「軽く読めて、役に立つ」という点にあるとのことです。これまで文庫本を書いたことがなかったので、なるほど、そうかと納得しました。単行本にしようかという話も、編集部の中で出たようで、それがせめてもの慰めです。とにかく、編集部で料理してくれて、文庫本の趣旨に、合った本ができてきたように思います。
速読脳が開発されて初めて分かる読書の意義について説いた点では、類書がないと思います。その意味で、高く評価してくれており、出版社側でも、たくさんの方に読書の本当の意義を知ってもらおうと、売れるようにとても力を入れてくれているのが伝わってきます。
たとえば、多くの人が手に取りやすいように、かつ普通の人にとって読みやすいように、カットをかなり入れてくれました。表紙も、知的生き方文庫としては、今まで私が見たことのない色を使います。どんな色かは、出た時のお楽しみ!
タイトルは、「1冊10分で読める速読術」です。「速読道」と言いたいところですが、今回は、出版者の意図にそっていきたいと思います。皆さんが友だちに紹介する時は、「これは、本当は『道』なんだ」と説明してあげてください。
店頭に並ぶのは、また遅くなりまして、3月19日という予定です。今しばらく、お待ちくださいますよう。(豊文)

変える

「目は心の窓」とは、本当によく的を射た言葉だと感心します。
大分前のことですが、中学受験の娘さんと一緒に受講していたお母さんがおりました。一緒に受講しているのに、娘さんはどんどんテイクオフして伸びていくのに、お母さんはさっぱり伸びません。そして、受験が終わって見事志望校へ合格が決まったあと、お母さんも見違えるような訓練で、すっとテイクオフしていきました。娘さんのことが気になって、見ることに集中できなかったのですね。
また、子供たちと一緒に参加していたあるお母さんの話。こちらのお母さんは、子供たちと一緒に順調に伸びて、テイクオフもでき、喜んでおりました。ところが、その次の集中セミナーの朝の測定で、テイクオフの見方が大きく崩れていました。とにかく、落ち着かない目をしているのです。
「おかしい、何かあったかな?」と思って尋ねてみると、実は、一緒に住んでいる姑さんが癌だと診断されたというのです。なるほど、落ち着かないのも当然だと思いました。このように、心の動きは、目の動きや見方に反映するのです。
ということは、前回の教室物語で、新年会で出た効果で、眼光が変わった人がいると書きましたが、彼らも、なにかしら想いに変化があったのではないかと思います。そのはずですよね。
そのAさんの所感の一部を紹介しましょう。
「今日は『ゆったり、悠然』の鎮まった状態で訓練できたともいます。1/30(土)の集中と新年会、31日(日)の本科、そして2/1(月)の経験して、とにかく、相手を変えるのではなく、自分が変わるーしかも、自分を捨てるーことが何よりも大切であると強く感じました。これからは、とらわれを捨てて「ゆったり、悠然」で生きていきます。」
何か重いものを引きずっている目をしていたAさんでしたが、大きな気付きがあったわけです。その大きなきっかけになったのが、新年会での受賞者やFさんのスピーチだったわけです。
よく言われるように「過去と他人は変えられない。変えられるのは、自分と未来!」。本当にそうですね。周囲に不平不満を言ってばかりの人はいませんか。実は、私もその一人でした。自分を変えることを決意すると、楽になりますよ。
Aさん、がんばれ〜!(豊文)

’10新年会報告

報告が遅くなりましたが、新年会はお陰さまで、感動のうちに終了しました。例年通り、私の挨拶から始まり、乾杯、過去受賞者の紹介、歓談、表彰式、受賞者のスピーチ、くじ引きと続きました。
今年の受賞スピーチを聞いて思ったのは、受賞者それぞれ、自宅練習の仕方や「速読脳」開発の経緯が違っているということです。一人ひとり、年令も、環境も、生活も違うし、それまでの経験も異なるわけですから、当たり前なのですが、今回は、例年よりバラエティに富んでいたように思います。
それだけに、参加した人は、自分の状況に近い人の話として、参考にすることができたことと思います。今朝の通学本科の授業には、新年会に参加した人が4名いましたが、そのうちの2名は、眼光が強くなっていて、目が違っていました。明らかに、新年会に参加した効果だと思いました。
「○○さんのお話が良かった。○○さんのように『速読脳』を開発するまで、あせらず淡々と頑張ります」とか、肚を決めたという感想を述べてくれた方もおりました。受賞者の皆さん、素晴らしいスピーチ、有り難うございました。
これだけでも、新年会は毎年感動的なのですが、実は、今年は、例年にないサプライズが加わりました。
百読会260冊の記録を持つFさんに、速読脳開発したその後について、お話してもらったのです。仕事の中でどのように「速読脳」が生きているかを、具体的に語ってくださいました。それは、まさにスーパーパワーと言っていい内容でした。Fさんのその後の体験談のおかげで、「速読脳」開花後まで、自分の姿をイメージできたこととと思います。お忙しい中、駆けつけてくださったFさんに、感謝です。
私自身、例年にもまして強く感動した新年会でした。何か、期を画するような動きが始まったような印象を受けました。はっきり分かりませんが、それを実現していくのが今年連盟の課題なのではないかと思いました。参加してくださった皆さん、過去の受賞者の皆さん、有り難うございました。(豊文)